2010年10月30日土曜日

イスタンブール大学公開セミナーで研究発表

今年2月にイスタンブールを訪ねた。そのとき、イスタンブール大学の民俗学研究センターの研究者と面識ができた。それから8ヶ月、ひょうたんから駒のような話で、イスタンブールを再訪することになった。同研究センターが主催するセミナーで講演をするためである。
今年は、トルコでは日本との友好120周年を記念して、日本との友好イベントで賑わっている。また、イスタンブールは、2010年度のヨーロッパ文化首都に選ばれたことも手伝って、イスタンブールの都市文化にかかわるさまざまな催し物が行われている。
私の講演も、同センターが主催するセミナーの一環として、「日本のメディアにおけるトルコイメージ」について研究発表するものだった。
当 初は、セミナーの1つの発表演目に過ぎなかったのに、トルコの人びとの千客万来文化のお陰で、スポンサー付きの公開イベントに格上げされ、政府観光局が後 援して、トルコの民俗楽器の演奏や日本の茶道のイグジビションや琴の演奏も伴うひどく大がかりなものになってしまった。
びっくりしている私に、イスタンブールに長期在留している日本人のみなさんから、「それがトルコ流なんですよ。こうなったら、船に乗るしかありません。がんばってください」と引導をわたされ、約1時間の研究発表を引き受けることになった。
テー マは、日本の新聞とマンガに現れたトルコのイメージについての内容分析である。日本の新聞メディアについて、その歴史を簡単に紹介しながら、この25年間 のトルコ報道の傾向を総括し、また、同時に、トルコとトルコ人を扱ったマンガやイラストガイドブックを対象にして、日本人とトルコ人の異文化接触やカル チャーショックのエピソードを紹介した。
会場は、結構満員で、テレビ局のカメラもいくつか並んでいて、あとで、インタビューをされた。
当初は英語での報告を予定していたが、現地の大学院でトルコ古典文学を学んでいる優秀な大学院生やトルコ人の日本語通訳の力を借りることができ、日本語=トルコ語通訳を介して、発表をすることができた。
一般市民の聴講もあると聞かされていたので、できるだけ専門的な用語は避け、笑いを誘うようなエピソードも取り上げて、内容を構成した。それが功を奏したのか、通訳を交えての発表だったけれど、期待通りのところで笑い声が上がり、首尾良く講演を終えることが出来た。
我ながら、こういう場でも笑いをとることを考えるというのは、関西人だなあとしみじみ自覚した次第である。
発 表の最後に、この秋に訪ねた串本のトルコ記念館を紹介した。今から120年前、日本を表敬訪問したオスマン朝の軍艦・エルトゥールル号が串本沖で遭難し、 乗組員を串本大島地区の漁民たちが果敢に救助した出来事がきっかけになり、その後も、慰霊祭を欠かさず現在に至っている。その事跡を記念して70年代に建 設されたトルコ記念館とその活動をイスタンブールの人びとに紹介したかった。
串本のトルコ記念館を訪問するに当たって、イスタンブールでの発表の件を関係者にお話ししたところ、写真の提供やインタビューなど、快く協力をしてくださった。その厚意にもぜひ応えたかった。
研究発表の要旨は、こちらをご覧頂くこととして、まずは、イスタンブール大学での研究発表が、つつがなく成功裏に終わったことを記したい。
関係者の方々に心から感謝を申し上げたい。

2010年7月19日月曜日

夏休み特別番組のお知らせ〜朗読ドラマによる連続大学講座「メディアってなに?」


 FMわぃわぃで、放送中の関西学院大学山中速人研究室提供の実験ラジオ番組は、7月20日から夏休み特別番組「朗読ドラマによる連続大学講座・メディアってなに?」をお送りします。放送時間は、毎週火曜日、午後1時から1時20分。10回シリーズで、9月21日までお送りいたします。
 原作は、拙著『娘と話す・メディアってなに?』(現代企画室)で、ハワイ生まれのナニちゃん(ハワイ語で美しいという意味)が、日本の大学に入学し、コミュニティラジオ局のキャスターをつとめながら、メディアについて考えるという内容です。
 ドラマには、声の出演として、神戸三国志ギャラリーの内屋敷保さん啓明学園高校の放送部のみなさん、ほかの協力をいただきました。
 1930年代のナチズムによる大衆操作に使われたメディアの問題を皮切りに、メディアの影響力をめぐる現象や理論、思想家のメディア論などを歴史的に整理しながら、ドラマの形式を借りて広く取り上げています。
 メディア論に関心のあるみなさんの聴取をお待ちしています。
ポッドキャストのアクセスは
http://tasei-bunka.seesaa.net/article/157032262.html

2010年5月9日日曜日

5月11日から鉄人と三国志の街・長田街歩きラジオ番組が始まります


神戸のJR新長田駅近くの公園に実物大の鉄人28号が立っている。街歩きのラジオ番組で、8日土曜日の午後、そこを訪ねた。

この番組は、FMわぃわぃで5月11日(火)から10回のシリーズで、鉄人と三国志の街・長田をテーマに学生レポーターたちがくまなく歩き回って、その魅力や街作りへの提言を放送する予定。
8日の訪問は、その第1回の収録のためだった。

原作者の横山光輝が住んだ長田の街を記念して、地元の有志たちが数年来こつこつと寄付金を集めて実現した、実物大の鉄人28号。18メートルある そうだ。鉄人プロジェクトのひとり、近畿タクシーの森崎社長が熱っぽく語っていた夢がついに実った。友人として、心からおめでとう。

実現までには、多くの苦労があった。長田は、川崎重工など、名だたる鉄鋼企業の街なのに、これらの大企業は、鉄人プロジェクトには冷ややかで、 協力してくれなかったらしい。かわって大阪の中小企業が引き受けてくれたとのこと。日本の大企業のチャレンジ精神のなさを象徴するようなエピソード。

ところが、実現してみると、たいへんな人気。平日でも人だかりが絶えない。
里帰りして鉄人を見に来た子連れの若いお母さん。車いすの夫を連れて、毎日、通っているという初老の夫婦。中年おじさんたちは、熱っぽく鉄人の魅力を語る。テレビアニメの主題歌まで歌いだしそうだった。

「アトムと鉄人のどこが違うかって? アトムはどこまでいっても正義の味方だけど、鉄人はリモコンを悪人に奪われれば悪の手先になってしまう。科学技術の本質を的確に示しているのが、鉄人なのだ。」
とは、わが友人の評論家の言。なるほどね。

鉄人でもりあがる長田の街。震災以来、久しぶりに活気があふれていた。それが嬉しかった。

2010年3月19日金曜日

卒業おめでとうございます


卒業おめでとうございます。
 この3月18日、山中速人ゼミは、19名の卒業生を送り出しました。
 進学、就職と進路はそれぞれ違っても、明日から、新しい人生のステージに入るみなさんにエールを送ります。
 学校を離れ、社会に本格的に参入していく。これからいろいろなことがあるでしょうが、自分に自信をもって、進んでください。
 わたしの教育方針は、「教えないのが教育だ」というものでした。これからも、その言葉を覚えていてください。あなたにすり寄ってきて「あなたのためだから」というような人間を警戒しなさい。あなたが知りたいというまで教えてくれない人。尋ねたことだけ、ほんのすこし教えてくれる人。こういう人を大事にしなさい。
 みなさんがゼミの課題であるラジオ番組制作で学んだことの核心は、人のことばに耳を傾けること。それだけです。それも、しゃべりたい人の言葉にではなく、沈黙しがちな人の言葉に耳を傾けることです。その経験と学びを大切にしてください。
 私がみなさんに伝えたいことは、それだけです。
 最後に、あらためて卒業おめでとう。
 

2010年3月3日水曜日

春から復帰します

長いようであっと言うもの自由研究期間も、3月で終わります。
4月から、また授業に復帰します。