2023年2月9日木曜日

トルコ・マルマラ地震の記憶を語り継ぐ努力は果たされたか?

 1999年に発災したトルコ・マルマラ地震の被災地で、人びとの間に地震の記憶がどう継承されているかを知りたいと思い、2018年に現地調査を行った。被災者たちの間で、地震の記憶は生々しく生きていた。しかし、地元自治体は、災害の記憶継承に努力しているようすはなかった。震源地の街は、きれいに修復され、痕跡はなく、震災を伝えるモニュメントもなかった。

震源地の街 ギョルジュク
しかし、私たちが尋ねると、出会った被災者たちの口からはほとばしるように震災の記憶が溢れ出した。むしろ被災者たちは、記憶を語りたがっていた。そして、震災の記憶を忘却しようとするかのような社会の動きを嘆き、このままでは、また同じような災害と被害が、繰り返されかねないと訴えた。

震源地での聞き取り
今回の2023年トルコ・シリア地震の被害の深刻さと被災者の辛苦を思う。そして、マルマラ地震の悲劇がまた繰り返されたことに忸怩たる思いを禁じえない。

マルマラ地震の被災地でのフィールドワークの報告に詳しく書いた。ご一読いただきたい。

https://kwansei.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=27913&item_no=1&page_id=30&block_id=114